GLOBAL RESORT FIELD NOTE
ホテルを実際に運営する不動産会社の現場コラムです。株式会社グローバルリゾートレジデンスが、物件の取得・改装・許可・集客・運営で得た判断基準を、実例と数字でお伝えします。
私たちは宿泊施設の相談を受けると、稼働率だけでは判断しません。部屋が埋まっていても、単価が低く、清掃費や予約サイトの手数料が重ければ利益は残らないからです。自社で宿を運営しているからこそ、売上と現場の手間を同じ表で見ます。
見るべき数字は、平均客室単価のADR、販売可能な1室あたりの売上を示すRevPAR、1泊売れるごとに出ていく変動費率の3つです。稼働率の高さだけでは、売上と利益の構造は判断できません。

満室に近いのに資金が残らない宿もあります。大切なのは「何室売れたか」より、1室を売ったあとにいくら残るかです。
グローバルリゾートの運営判断
稼働率90%でも、利益が残らない例
20室 × 1泊5,000円 × 稼働率90%
月の売上:約270万円
1日に清掃するのは平均18室。清掃を1室3,500円で外注すると、月の清掃費だけで約189万円になります。ここにリネン、アメニティ、水道光熱費、予約サイトの手数料などが加わります。
この例では「90%も埋まっている」ことより、5,000円の客室単価に対して1室3,500円の清掃費がかかる構造を見る必要があります。部屋が売れるたびに費用も増えるため、稼働率だけを上げても利益がついてこないことがあります。
私たちが運営で見ている3つの数字
- ADR(平均客室単価)
実際に1泊いくらで売れたかを示す数字です。定価ではなく、割引やキャンセルを反映した実績で見ます。単価を上げても、清掃やリネンの回数は増えないため、利益改善に直結しやすい指標です。 - RevPAR(販売可能客室1室あたり売上)
ADR × 稼働率
値下げして稼働率が上がった結果、本当に客室全体の売上が良くなったかを判断できます。価格を変えたときは、前月や前年同月とRevPARで比べます。 - 変動費率
清掃、リネン、アメニティ、予約サイトと決済の手数料など、1泊売れるごとに出る費用がADRの何%かを見ます。noteの解説では、50%を超えると利益が残りにくい構造として注意を促しています。
数字を見てから、改善策を選ぶ
| 確認した数字 | 考えられる改善 |
|---|---|
| ADRが低い | 周辺相場と比べる、客室の見せ方やプランを見直す |
| RevPARが伸びない | 値下げと稼働率の関係を前月・前年同月で比較する |
| 変動費率が高い | 清掃方法、連泊時の対応、予約経路を見直す |
| 1室あたり売上が低い | 複数名で泊まれる客室構成や一棟貸しを検討する |
たとえば連泊割は、料金を少し下げても中日の清掃を簡易対応にできれば、割引額より削減額が大きくなる場合があります。一つの数字だけを上げるのではなく、売上と費用がどう動くかをセットで考えます。
宿を買う前に、売主へ確認したいこと
- 実績のADRはいくらか
- RevPARは月別・年間でどう推移しているか
- 清掃、リネン、アメニティ、手数料を含む1泊あたりの変動費はいくらか
この3つが分かると、値付けや運営方法を変えたときの収支を検討しやすくなります。もちろんエリアの需要も必要ですが、需要がある場所で数字の読み方を間違える失敗は減らせます。




