
「1円で家が買える」と聞くと、とてもお得に感じます。けれど、不動産再生の現場で本当に見るべきなのは購入価格ではありません。取得した後に何が必要で、最終的にいくらかかり、どのように使える物件なのか。そこまで見て初めて判断できます。
株式会社グローバルリゾートレジデンスのYouTubeでは、広島県玖波にある5LDKの戸建てを1円で取得し、解体・改装を経て完成するまでを記録しています。本記事では、この事例から見える「1円物件・格安空き家を検討するときの7つの落とし穴」を、購入前チェックとして整理します。
先に結論
- 取得価格が安いことと、再生総額が安いことは別です。
- 契約前に、建物・設備・法規・許可・需要・出口まで確認する必要があります。
- 格安物件は、使い道と改装範囲が明確な事業者にとっては可能性があります。
動画で確認できる「1円物件」の事例
シリーズの出発点は、広島県玖波にある5LDKの戸建てです。動画では、1円で取得できた背景と建物内部を紹介し、その後の動画で解体後の状態、改装内容、完成した姿まで公開しています。
ここで重要なのは「1円で買えた」という結果だけではありません。残置物、建物の傷み、設備の更新、使い道に合わせた工事など、取得後に発生する仕事を含めて判断することが大切です。
1円物件・格安空き家の7つの落とし穴
1.残置物の片付けと処分
家具、家電、寝具、生活用品などが残っている物件では、改装前に分別・搬出・処分が必要です。量だけでなく、車両が入れるか、階段や廊下から運び出せるかも費用と期間に影響します。
2.解体して初めて分かる傷み
内見時にきれいに見えても、壁や床を開けると雨漏り、腐食、シロアリ被害、配管の劣化などが見つかる場合があります。表面の内装費だけで予算を組まず、追加工事の余白を持たせておく必要があります。
3.水道・排水・電気などの設備更新
築古物件では、水回り、給湯器、電気容量、分電盤、浄化槽などの確認が欠かせません。設備が動くかだけでなく、宿泊施設や賃貸住宅として安全・快適に使える仕様かまで確認します。
4.再建築・接道・用途地域などの法的条件
建物を直せることと、希望する用途で使えることは同じではありません。接道条件、用途地域、建築確認の履歴、増改築の状態などにより、計画が変わることがあります。購入前に行政窓口や専門家へ確認することが重要です。
5.旅館業・民泊・消防の要件
宿として運営する場合は、営業形態に応じた手続きや設備が必要です。旅館業は自治体の許可が必要で、住宅宿泊事業(民泊)にも届出制度と地域ごとのルールがあります。消防設備の要否も建物の使い方や規模などで変わるため、間取りを決める前の事前相談が安全です。
6.工事費以外の保有コストと時間
登記、税金、保険、草刈りや清掃、設計・申請、家具家電、インターネット、開業準備なども必要です。工事が長引けば、その間にも保有コストが発生します。購入価格ではなく、開業または入居までの総額と期間で比べます。
7.完成後の集客・運営・出口
きれいに直しただけでは事業になりません。誰が、何のために、いくらで利用するのか。清掃や予約対応を誰が担うのか。売却・賃貸・宿泊運営など、想定した出口が現実的かを取得前に考えておきます。
購入価格以外に確認したい費用
| 区分 | 主な確認項目 |
|---|---|
| 取得 | 登記、税金、仲介・契約関係、境界確認 |
| 片付け | 残置物の分別、搬出、処分、清掃 |
| 建物 | 屋根、外壁、基礎、構造、断熱、防水、防蟻 |
| 設備 | 水道、排水、電気、給湯、空調、浄化槽 |
| 用途変更・開業 | 設計、行政相談、許可・届出、消防設備 |
| 運営準備 | 家具家電、備品、写真、予約サイト、通信環境 |
| 保有・運営 | 税金、保険、光熱費、清掃、修繕、集客 |
契約前に答えを出したい5つの質問
- この建物は、希望する用途で使えるか
- 解体後に追加工事が出ても耐えられる予算か
- 許可・消防・近隣対応を含めた開業時期は現実的か
- 完成後に利用するお客様と料金が具体的に見えているか
- 運営しない場合の賃貸・売却など、別の出口があるか
格安物件が「再生のチャンス」になる条件
格安空き家がすべて危険というわけではありません。立地に需要があり、建物の状態と必要工事を把握し、許可の見通しと運営計画を持てるなら、価格だけでは測れない価値を生み出せる可能性があります。
私たちは、物件取得、片付け・改装、許可、集客、運営までを自社で行っています。「売るしかないと思っている」「宿や賃貸として再生できるか知りたい」という段階でも、まずは物件の状況を整理することから始められます。
動画・関連情報
※本記事は当社YouTubeで公開している事例をもとに、格安物件を検討する際の一般的な確認事項を整理したものです。必要な許可・届出・消防設備等は、地域、建物、運営形態により異なります。購入・工事・開業前に、所管の自治体、消防署および各分野の専門家へご確認ください。




